ギンイロノナミダ - Essay

Essay

54. 割り切れる数?

またもや算数コラムである。算数アレルギーの方には申し訳ないと思っているが、これを読んで少しでもアレルギーが解消されればと思っている。ただしアレルギーがひどくなった場合においては責任は負わないので悪しからずご了承下さい。

今回は「割り切れる数」について。さて、中学校1年生になったばかりの頃、そう、「算数」が「数学」と名前を変えたあの頃。なにか甘酸っぱい思い出でも込み上げてきそうだが、そうではない。あの頃から数学が嫌いになったって方もたくさんいるだろう。それはきっと数学のせいじゃなく、先生のせいだと思うよ←こらこら。

実数、有理数、整数、自然数、素数、etc.なんかいろんなモノが現れて、更には方程式 x2+2x+1=0 なんてのが出てくるともうお手上げってカンジで。自分で書いててすっげー懐かしい気分なんだけどな。ま、ここでは方程式なんかには一切触れません。

「自然数」って覚えてる?って「馬鹿にすんなっ!」って返事が返ってきそうだけれど。マイナスでも、分数でもなく、無理数でもない、キレイな数のことです。抽象的な説明でごめんなさい。でも、感覚的に「キレイな数」ってイメージはあるでしょ?ホントにキレイかどうかは別として。

まぁ実際、自然数の定義なんてものは存在しないも同等で、いわゆる「1,2,3,…」ってのが自然数の定義なんだそうです。その自然数にマイナスをつけた自然数と0を加えたものが整数。有理数は整数を用いて分数で表すことができる数。その有理数に円周率πや自然対数eなどの無理数を加えたものが実数。更には虚数iを加えて複素数、と…ここまで話を広げると厄介だな。

てな具合に数の世界は広いのですが、その中でも一番基本となる自然数を取り扱いたいと思います。

話を元に戻そう。割り切れる数の話だったな。まずは例題。

824,369,571 は 一桁の自然数 で割り切れることができるか。

さぁ、どうでしょう?

つまりは 824,369,571 が1~9の数で割り切れるかということだが、順番に考えてみよう。
まず、1。これは○。1で割り切れない自然数はないからね。
次に2。これは一目でわかる判別法がある。下1桁が偶数か否か。よってこの場合は割り切れない。
続いて3。これにもある判別法がある。全ての桁の数を足してその答えが3で割り切れれば元の数も3で割り切れる。この場合、8+2+4+3+6+9+5+7+1 = 45, 4+5 = 9, 9は3で割り切れる。よってもとの数も3で割り切れるのである。
4で割れるか否かは、下2桁が4で割れればOK。
5の場合は下1桁が0か5でないと割り切れない。
6の場合はやや複雑だが、2と3を組み合わせればよい。すなわち下1桁が偶数かつ各桁の合計が3で割り切れるならば6で割り切れる。
7の場合は…後に回そう。
8で割るときは下3桁が8で割り切れるならば大丈夫。
9で割り切れる数も有名だとは思うが、各桁の合計が9で割り切れれば元の数も割り切れる。
厄介なのは7であるが、割り切った答えを見つけず、ただ「割り切ることができるかどうか」ならば なんとか判別する方法はある。

では、それぞれの解説をしていこう。

a. 2または5で割れる数

なぜ「下1桁」のみに注目したのか。たとえば56、これは2で割り切れるが、その理由とは
56 = 50 + 6 にある。
50 = 5 × 10 = 5 × 5 × 2 であり、これは2の倍数でもあり、5の倍数でもあるからどちらでも割り切れる。つまり下1桁を除いた場合、どのような数であろうとも10の倍数になってしまうのである。よって下1桁が2で割れるか、もしくは5で割れるかさえ判断すればその数が2で割れるか、5で割れるかが判断できるのである。

b. 4,8で割れる数

上記の解説を参照していただこう。2で割れる数の場合は 10 = 5 × 2を用いたが、4や8の場合も同じようなものを用いる。すなわち、
100 = 4 × 25、
1,000 = 8 × 125 ということだ。
4で割れるかを判断する場合、下2桁を無視すればその数は100の倍数となり、4で割り切ることができる。つまり残りの下2桁が4で割り切れれば元の数も4で割り切ることができるのである。8の場合も同様だ。ただ下3桁が8で割れるかという判断はちょっと難しいかもしれないが。

c. 3,6,9で割れる数

これは意外と有名な判別法だと思っているがいかがでしょうか?前述した「各桁の数の合計が3もしくは9で割り切ることができれば、元の数も割り切れる」これはちょっと証明が必要であろう。
まず9の場合から証明する。
まずn桁の数aがあり、aの各桁の数をan , an-1 ,…,a2 , a1とすると、
a = an10n-1 + an-110n-2 + … + a210 + a1とあらわすことができる。このとき、
an10n-1 = an × 99…(n-1個の9) + an
an-110n-2 = an × 99…(n-2個の9) + an-1

a2*10 = a2 × 9 + a2
であるので、
a = {an × 9…(n-1個の9) + an} +{an-1 × 9…(n-2個の9) + an-1} + … + {a2 × 9 + a2} + a1
= 9[{an × 1…(n-1個の1)} + {an-1 × 1…(n-2個の1)} + … + a2] + (an + an-1 + … + a2 + a1)
ここで、前半太字の部分が9で割りきれることは自明であろう。
残りは後半の an + an-1 + … + a2 + a1 の部分である。
これは言い換えれば、各桁の数の合計に他ならない。これが3もしくは9で割り切ることができるならば、元の数も割り切れることになる。また、このとき先ほどの「2で割りきれる」数に該当するならば6でも割り切れるということになる。

d. 7で割れる数

これが一番厄介だ。なんと言っても1桁の最大素数7。2桁の倍数も13個しかない。だがコイツには素敵な倍数がある。1,001 = 7 × 11 × 13 だ。これ、意外と使えるのである。例えば15,155という数がある。これを7で割り切れるかどうか判断するために上記の1,001を使う。この数は 15,155 = 10,010 + 5,005 + 140 という分解ができる。ここで1,001の登場だ。
10,010 = 1,001 × 10、5,005 = 1,001 × 5 なのでそれぞれ7で割り切ることができる。
更に 140 = 14 × 10 = 7 × 2 × 10 なので 7で割り切れる。
それぞれの数が7で割り切れるのでもとの数15,155も7で割り切れるのである。

これに付いてはちょっとややこしいけど、

「3桁ずつ区切って下から奇数番目の数と偶数番目の数に分けて、 奇数番目の数の合計から偶数番目の数の合計を引いた数が7で割り切れると元の数も7で割り切れる。」…(A)

ということらしい。更に3桁の数に限定すると、

「十の位以上の数を3倍し、一の位に足した数が7で割り切れれば元の数も7で割り切れる。」…(B)

上記2つの証明は以下のとおり。

(A)の証明

12桁の自然数aを3桁ずつ区切ったときそれぞれの数を、下から順にa1,a2,a3,a4とする。
奇数番目の数の合計、偶数番目の数の合計をそれぞれS1,S2とすると、
a = a1 + a2103 + a3106 + a4109
  = a2×1001 - a2 + a1 + 1000×( a4×1001 - a4 + a3
ここで、1001は7で割り切れるので、a1 - a2 + a3 - a4が7で割り切れれば元の数も7で割りきれる。
すなわち、
a1 - a2 + a3 - a4
 = a1 + a3 - ( a2 + a4)
 = S1 - S2
が7で割り切れれば元の数も7で割り切れるのである。

(B)の証明

3桁の数mのそれぞれの桁をx,y,zと置くと、m = 102x + 10y + z と表せる。
十以上の数を3倍し、一の位に足したものをMとすると、
M = 3(10x + y) + z ,
m = 10(10x + y) + z
  = 7(10x + y) + 3(10x + y) + z
  = 7(10x + y) + M
よって M が7で割れれば m も7で割ることができる。

と、長々と小難しい説明をしたが、これは計算の初歩とも言うべき問題だと思う。次回はもっと「視覚的」に訴えるものを取り上げてみたい。と言うわけで次回の数学コラムは「ピタゴラスの定理(三平方の定理)」を取り上げてみようと思うが、予定は未定である。

(2002.8.15)

【補足】

なんかどこかで取り上げられたのかどうか知らないけれど、このページだけ妙にアクセスが伸びていてびっくりです。7で割り切れる数について調べている人が多いようで。

で、補足なんですが、7で割り切れる数って上記の方法を使わなくとも、割り切れるか否かを判断するだけなら意外と簡単だと思うんですよ。数字の各桁に7以上の数字があれば7を引いた数にするとか、どこかの2桁の数が7の倍数ならそれを0に変えてしまうとか。

例えば、716,836,057,498,237って数が7で割り切れるかを判断するなら、まず7以上の数を整理します。 716,836,057,498,237 → 016,136,050,421,230 となり一桁減りましたね。

次にめぼしい7の倍数を引いていきます。パッと見で42が消えますので、 016,136,050,421,230 → 016,136,050,001,230 となり、ついでに 16 → 14+2 とか36 → 35+1 などで整理していきますと、016,136,050,001,230 → 002,101,001,001,020 となります。

今、元の数から2,101,001,001,020まで変形しました。さらに21が消えますので、1,001,001,020となります。更に1,001が消えますので結局この数字は1020が7で割り切れるか否かの判定になるのです。更にここから1,001を引けば19となり、19-14=5 で、この数字は7で割り切れず、7で割った余りは5という結果になります。

数字の合同って性質をうまく説明できれば、こんなに冗長な文章を書く必要などないのですけれど、数式で表すならば 716,836,057,498,237≡5(MOD 7) ってことなんですけどね。

(補足追記:2007.4.8)