ギンイロノナミダ - Essay

Essay

68. 牛肉礼賛

学生時代の頃。

アパートの目の前にあるほか弁で夕食を買うのが常だった。目の前と言えどもその間には片側3車線の国道が走っており、横断歩道までは少し歩かなくてはならないので、若干不便ではあった。

ある日のこと。腹を空かせたマナブ少年(18)は500円玉を握り締め、足早にほか弁へ向かった。その日はどうしてもから揚げ弁当が食べたかった。さくっとした衣をかじると中からじゅわっと熱々の鶏肉。そこへほかほかの白米を口に放り込むのだ。妄想中の俺はだらしなく口を開け涎を垂らしていたに違いない。

「から揚げ弁当大盛お待ちのお客様~」という声で我に返り、大盛飯とから揚げの入ったパックをビニール袋に入れ、いそいそと部屋に戻った。袋からパックを取り出し、テーブルの上に並べ、割り箸をしゅっと取り出す。割り箸を割るときには口に咥えて片手でパキッと粋に割る。まるで江戸っ子がそばを食べるように。まぁ、俺は江戸っ子でもないし、そばアレルギーなのでそばも食べられないのだが。

パックのフタを開ける。ふわっと舞い上がる湯気。白米の香りが食欲を促す。そしてもう一つのパックのフタに…。

ふわっと舞い上がる湯気。白米の香りが食欲を促す。

え?

確かに大盛と注文した。しかし。ご飯を2パックはひどいです。

ほか弁に電話しました。「あのう…先ほどから揚げ弁当を…」「申し訳ございませんでした~!」…どうやらほか弁も後で気づいたみたいでした。

そんなわけでご飯のパックを抱えほか弁へリターン。ほか弁はおかずを既に用意して待っていてくれました。「すいませんでした!」と潔い謝罪。こちらが恐縮してしまいました。

さぁ、今度こそから揚げだ。さくっとした衣。じゅわっと溢れる肉汁!さぁ、から揚げよ!今こそその黄金の姿を現すがよい!ぱかっ。

…なぜにサーロインステーキ?

黙って食べました。牛肉うめー!ビバ牛肉!

(2003.8.19)