ギンイロノナミダ - Essay

Essay

82.石垣島二泊三日の旅(中編)

昨夜寝る前に日の出情報をチェックしていた俺。偉い俺。石垣島の日の出を見るために早起きしたんだぜ。日の出なんてどこでも同じじゃない、なんて悲しいコト言うなよ。徹夜明けじゃない日の出なんて10数年ぶりなんだぜ。

ということで、6時25分、眠い目をこすりながらビーチを散歩。真っ赤な太陽がゆっくりと昇っていく。夕日が沈んでいく様を逆回ししているみたい。しかし、なんだ。太陽ってのは偉大だな。さっきまで涼しかったのに早くも暑くなってきた。今日も灼熱の一日が始まるっ!

バカンスとは「平素の煩瑣な仕事の世界から解放されて、完全な休暇を楽しむライフスタイル」を指すらしい。つまり「積極的に遊ぶ」のではなく「積極的に何もしない」方が望ましいのである。しかし悲しき哉日本人。折角の休みに何もしないとは勿体無い!とばかりに貧乏性な日本人であるマナブさんは早くも水着に着替えビーチに飛び出しアクアサイクルを漕ぐのでありました。

透明度の高い海の上で眺める空は素晴らしく青く、9月といえどもまだまだ熱い太陽に照らされて落ちる影は海底にくっきりと浮かび、地上では熱風としか思えないが、波の上をすべる風は心地よく、アクアサイクルのペダルを止め、ただぼんやりと海の上に漂っていました。「これが…バカンスッ…!」と優雅な気持ちに浸っておりましたが、ふと気付くとかなり岸が遠くへ。いや違う。俺たちが遠くへ。慌ててペダルを漕ぎ出すのでありました。

さて、昼からのんびり観光でもしようと市街地へ。旅行冊子でオススメだったハンバーガー屋でやたらとアメリカンサイズなハンバーガーを貪る。美味い。そういや20年前の記憶なんだが、アメリカで食ったハンバーガーは何もかもがやたらとでかかった記憶がある。「さすがアメリカ、大陸だぜ!」と感動したのではあるが、よく考えると20年前の俺はまだまだ子供で、リトルジャパニーズで、マクドナルドもない田舎住まいで、見るもの全てがでかく感じていたのだ。20年前、まだ巨乳や爆乳という言葉が無かった頃はDカップがでかく感じたものなぁ。今では猛乳や超乳って言葉もあるらしいぞ。更に上は怪乳だとさ。おっぱい怖い。何の話だ。

お腹おっぱい…じゃなくていっぱいになったので、腹ごなしに土産屋を冷やかしてまわる。島内一の繁華街といえども1時間もあれば一回り、2時間もあれば自分でオリジナルマップが作れるほどになる。もっとディープな場所もあるのだろうが、いい加減雑踏から少し離れたい。ということで、観光タクシーを利用し島内観光へと出かけることにした。この行き当たりばったりさがバカンスッ!

石垣島初心者コースというコースがあるかどうかは知らないが、タクシーの運転手は僕らが行きたい見たいと思う観光名所を存分に回ってくれた。唐人墓の近くでパイナップルジュースを飲み、モンキーパークでリスザルに囲まれ、川平湾の景色に驚嘆し、バラビドー観光農園でトロピカルフルーツに舌鼓を打ち、バンナ森林公園から石垣島を一望し、日が傾くまで思う存分堪能させていただいた。マングローブ原生林を間近で見ることが出来なかったのが残念だが、それはまた次の楽しみということにしておく。ショートケーキのイチゴだって最後に食べたほうが美味しいだろう?

夕食はまたもやタクシーの運転手に聞いてお勧めの居酒屋に連れて行ってもらった。琉球料理は肌に合う。何を食べても美味い。まぁ、苦手なものが無いわけではない。昨夜のゴーヤだとかヤギのチーズだとかは苦手な部類だ。ゴーヤはあの苦味に敬遠していたのだが、ここで食べた豚の角煮についてきたゴーヤの美味いこと。これが食べられるならゴーヤチャンプルーもいけるんじゃね?とチャレンジしようとしたけど、無難に豆腐チャンプルーを食す。オリオンビールと泡盛でほろ酔いになり、上々の気分でホテルへ。

酒を飲め、これこそ永遠の生命だ、また青春の唯一のしるしだ。酒と花、君も浮かれる春の季節に、楽しめ一瞬を、それこそ真の人生だ!

~ オマル・ハイヤーム ~

さて、バカンスといえばお酒である。昨夜に引き続きホテル内のバーでグラスを合わせる。スタンダードカクテルも良いのだけれど、ここは石垣ならではのオリジナルカクテルをチョイス。泡盛ベースの爽やかなカクテルを飲み干す。

女と酒と歌を愛さないものは、一生の間阿呆のままだ。

~ ヨハン・ハインリッヒ・フォス ~

隣に座る恋人の頬が赤く染まっている。その頬を染めているのはカウンター上の照明かそれとも左手に持ったそのグラスか。静かにジャズが流れる店内にもかかわらず歌いたくなった。2杯目のカクテルはやや甘く、そのカクテルのように甘い言葉を恋人に語りかけていたのかもしれない。

酒の一杯は健康のため。二杯は快楽のため。三杯は放縦のため。四杯は狂気のため。

~ アナカルシス ~

それはそうともう5杯目だ。健康、快楽、放縦、狂気を通り越した先を見極めてみたい。

上にあるものが下に見えたら、飲むのをやめて家に帰ろう。

~ テオグニス ~

そろそろ帰ろう。足元も覚束ない。

しかし、いつも旅行記を書くたびに思うのだけれど、俺は旅行記をほとんど書いてない気がしてならない。何はともあれ後編へ続く

(2007.11.2)