脱皮

たった一日外にいただけで腕の皮がペロンと剥けた。なんと弱々しい皮だ。そんな子はウチの子じゃない!と一喝し千尋の谷に突き落とそうと思った矢先にまたペロンと剥けてどこかへ逃げていってしまった。逃げ足だけは速いようだ。流石は俺の身を分けた兄弟だ。

世界は日進月歩で進化している。にもかかわらず皮は剥ける、毛は伸びる、爪も伸びる、腹は減る。人類は大昔から全く進歩していない。ゴキブリを見習いたいものだ。奴等は最新の殺虫剤が登場するたびに進化を遂げ、抗体は並大抵のモノではなくなっている。いずれゴキブリから新薬若しくは新劇薬が作られるに違いない。

言ったそばからゴキブリを見つけたので、すかさず最新のジェット式殺虫剤を振りかけた。ヤツはその霧の中、最後の足掻きで俺に向かって羽を広げた。ヤツの羽に跳ね返された霧の一粒が俺の腕にかかった瞬間、俺の腕はたちまち皮が剥けた。

剥けた皮に対しては一喝しておいたが、やはり人類にはまだまだ進化が必要だ。