あの人に近付きたくて

憧れは憧れのままで

ここのところ体調が思わしくなく、お腹も緩くなりがちである。なるべく冷たいものは食さないようにしているが、やはり仕事上がりのビールは美味しい。歳も歳だし摂生はしているが、そこまでストイックな人間ではない。もっとレオンのようなストイックさを身につけても良さそうな気がするけれど。

初めて「レオン」を観たのはいつだったか。若かりし頃だとは思うが、当時ものすごく衝撃を受けたのを覚えている。それ以来好きな映画はレオンであると公言して憚らなかった。そう告げた途端周りの目が冷たくなるのを感じたこともある。違うんだ、ナタリー・ポートマンに心を奪われたわけではないんだ。

ゲイリー・オールドマンの演技に心を惹かれた。将来はあんなイカしたおっさんになりたいと思った。それを公言するとまた周りの目が冷たくなった。違うんだ、役のスタンスフィールドではなくてゲイリー・オールドマンが好きなんだ。イカしたおっさんになりたいんだ。イカれたおっさんにはなりたくないんだ。

そう思いながら生き長らえてきました。昨今のマスク生活のおかげで無精髭も隠すことができ、額の剃り込みも順調に食い込み、少しずつ憧れのあの人に近づいているのではとほくそ笑む毎日。なんでだろう、憐みの視線を感じる。

バットマン」のゴードン本部長役はとても素晴らしいと思う。ゲイリー・オールドマンになりたい。だがお腹が緩く、歳だけを重ねただけの俺は…いや、もう何も言うまい。口を開けば冷たい目、憐みの目だけではなく石が飛んできそうである。

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