恩返し

私の部屋は決して覗かないでください

昨夜、突然俺の部屋を訪問した若い女性。

「恩返しにきました。けれど…」

彼女は前述の言葉を言い残して俺のアパートの1室を占領してしまった。

気になって一睡もできず、

俺は徹夜明けの目をこすりつつ仕事へ向かった。

アパートを出るとき、彼女はまだ起きていたようだ(気配だけだが)

仕事を終え、コンビニで弁当を2つ買い、アパートへ帰った。

「おぉい、大丈夫か?とりあえず弁当買ってきたからさ。腹減ったら食えよ!」

……返事がない。

急に心配になった。

覗くなと言われても、人命に関わることなら話は別に違いない。

俺は思い切ってふすまを開けた!

「あぁ、覗いてしまったのですね。。。

もう私はこれ以上ここにいることはできません。

さようなら!」

彼女はそう言い残すと俺の買ってきた弁当を2つとも取り上げ、

全速力でアパートを出てっいった。

っていうか、俺は誰も助けてないことに気付いた。

あれは一体なんだったのだろうと彼女がいた部屋を見回すと…。

家財道具が全て消えていた。

ほう、独身男性を狙った新手の泥棒なのか。

男性の下心を巧みについた素晴らしい手口だ。

感心してる場合じゃねぇよ!

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