記憶を外に頼る

年々記憶力が衰えている。「年々」と書いたが本当はもっと非道い。「月々」や「日々」と言っても良い。「刻々」でも良さそうな気がする。何の話だったか。そうそう、記憶力の話である。

自分の記憶力は全く当てにならないのでなるべくメモを取るようにしている。最近はスマホでメモをとる若者が多いと聞くが、私はいまだに手帳派だ。スマホの操作が覚えられないのではない。覚えてもすぐ忘れてしまうからだ。

そんなわけで手帳には色々メモを取っているのだが、そのメモの内容が思い出せない。こんなこと書いたかな、こんなの書いた覚えがない、なんてのはザラである。そもそもこの手帳、いつ買ったのかさえ覚えていない。よく見ると日付は昨年のものだ。

買い物を効率よく済ませるために、買うべきものは予めメモして出かける。そのメモを忘れて出かけることはよくあることだが、移動中に必要なものを思い出すとメモが取れないため一緒にいる妻に「あれ買うの覚えておいて」とお願いする。記憶を外に頼る最たるものである。自分以外の人の記憶のリソースを自分のために使ってもらうのである。これは心苦しい。なので、逆に頼られた際にはしっかり覚えておこうと思っている。人間、必死になれば結構覚えられるものである。

帰宅後、妻から「あれ買うの忘れた!覚えててって言ったじゃない」と怒られるのだが、これには私も反論する。「しっかり覚えていた。言うのを忘れていただけだ。」

それからというもの、子どもたちが覚える役目を任されている。

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